日本行動分析学会ニュースレター

J-ABAニューズ 1996年 冬号  Vol. 1 No. 2


訃 報

2月2日、11時15分。行動分析の巨人であるケラー先生(Fred S. Keller) が癌でお亡くなりになりました。ご自宅でご家族に看取られてのご臨終だった そうです。ケラー先生といえば教科書Principles of Psychology の著者であ り、個別化学習システム(PSI:Personalized System of Instruction)の 開発者であり、中南米を中心に行動分析学を普及させたパイオニアでした。ウ エスタン・ミシガン大学のマイケル先生も、ことあるごとに、行動分析学はス キナーが始めたが、ケラーがいなかったらここまで広まらなかっただろうとおっ しゃっていました。

 慎んで、ご冥福をお祈りいたします。

 尚、ケラー先生の業績を祈念して、先生のお名前がついている F. S. Keller Schoolでは寄付を募集しています。この学校は、ニューヨーク にある、コロンビア大学付属の、教員養成のための養護学校で、学生がインター ンとして行動分析学に基づいた障害児教育を学んでいます。詳しいことは下記 のアドレスまで。


ケラー先生逝く

杉山 尚子 (慶應義塾大学)

 2月2日、フレッド・ケラーが膀胱ガンのために亡くなったとのメールを受 け取った。96歳の大往生である。1990年にスキナーを失い、今また、残された 精神的支柱を失うことになった。昨年のABA(国際行動分析学会第21回年次大 会)は欠席で、体調不良が伝えられたが、帰途立ち寄ったボルティモアのカタ ニア先生(A.C.Catania)のお宅で、先生の発案で、チャペルヒルのケラー先 生にお電話かけたときには、思いの外、お元気そうなしっかりしたお声で、相 変らず、ユーモアたっぷりのお話をされていたのに。

 行動分析学の学祖はスキナーであることが周知の事実であるのと同様に、行 動分析学の普及はケラー(とシェーンフェルド)によって行われたというのも 周知の事実である。1989年のABAのバンケットでケラーの90歳の誕生日を祝っ た折、満席の会場に向かって、司会者が、「ケラー先生のお弟子さんは起立し てください」と言うと、シドマン(Murray Sidman)をはじめとするそうそう たる顔ぶれの行動分析家が立ち上がった。司会者はさらに続けて、「ではここ に立っている方々のお弟子さんは起立して下さい」と言うと、また、多くの会 員が立ちあがる。さらに続けて、またその「お弟子さんーー」という具合に、 3、4回もアナウンスした頃には、会場の全員が起立して、一斉に拍手し、ケ ラー先生は"いつものように"、感激で泣いてしまわれた。

 1990年の春、「実験的行動分析」という科目を教えるためにはじめて教壇に 立つ前に、私はケラーの Pedagogue's Progress *を読んだ。ブラジルに行 動分析学を広めるための戦略と共に忘れられないのは、「Whatever the course is called、you teach only what you know」という言葉で、これに勇 気を得て、後に教養の心理学の入門コースを担当することになっても、堂々と 行動分析学で体系づけられた心理学を教えることができたのであった。

 ケラー先生のお年を感じさせない若さの秘訣は、ひとつには女性に対する関 心を失わないことにあったのだと密かに思っている。ABAの折、会場のホテル で、偶然、先生と同じエレベーターに乗り合わせたことがあった。途中、止っ た階で、大学院生と思われる若い女性が4、5人乗り込むと、彼女たちは「ケ ラー先生がいる!」とばかりに一斉に歓声を上げる(スキナーに対してはこの ような行動は自発されない)。すると、先生は、私に向かってウインクをしな がら"They are all my girls."と笑うのであった。1992年にメキシコのグアダ ラハラで開催された第1回行動主義と行動科学に関する国際会議の際、ケラー 先生とシドマン先生夫妻と私ども夫婦とが記念撮影をしたときには、ケラー先 生は隣に立った私の腰にしっかりと手を回している。行動主義と行動科学に関 する国際会議は1994年にはイタリアのシシリー島で開かれ、これにもケラー先 生は出席された。第3回は、本年、横浜で開催予定であり、「ケラー先生にお いでいただくわけにはいかないだろうか」と考えていた矢先の訃報であった。

*この本はABAの事務局で販売されています($20)。購入ご希望の方は杉山 までご連絡下さい。


『洗脳の科学』と実験的行動分析(2)

2つの「誤解」と行動分析の課題

望月 要 (放送教育開発センター)

 前回は、行動修正とスキナーの心理学を攻撃的に批判する本 --- 『洗脳の 科学』(リチャード・キャメリアン著、兼近修身訳、第三書館) について、そ の内容を紹介した。 今回は、行動分析の研究・実践・教育に関わる者として、 この批判 (誤解) をどのように受け止め、対応すべきか、私見を述べてみたい。

 この本の著者が、行動修正に激しい非難を浴びせる背景には、2つの問題が あると思われる。 第1の問題点は、行動修正への大きな誤解、あるいは認識 の相違である。 先に引用した序章の書き出し部分や、第4章と5章の内容か ら判断して、著者は「薬物、精神外科、心理療法、脳への電気刺激、スキナー 派の手法など」 (p. 107) を総合して『行動修正』と呼んでいる。 このうち 「スキナー派の手法」についても、著者の念頭にあるのは、罰 (例えば p. 141) や人権を無視した極端なdeprivationを前提とした強化手続き (例え ばp. 169、174) であるように思われる。

 実験的行動分析の研究者や実践家にとって、脳外科的手法や薬物の投与といっ た事柄が、行動修正の技法とは全く無関係なものであることは言うまでもない。 特別な例外を除けば、こうした手法が行動修正のプログラムに含まれることは 考えられないし、それ以上に、研究対象者やクライエントの人権を無視し、そ の安全や健康を損なうような研究を実施することはあり得ない。 これは ``Journal of Applied Behavior Analysis''誌や『行動分析学研究』に掲載さ れた論文を見れば明らかである。 さらに、この本にも引用されているスキナー の言葉 ---「私は、電気ショック、吐き気と嘔吐を誘発する薬物、あるいは心 理療法を使えと勧めたことは一度たりともない」(p. 177) --- にも、はっき りと示されている。

 この問題の重要な点は、こうした誤解が必ずしも著者の個人的な偏見による ものではないらしい、という点である。 刑務所や、薬物濫用者の治療施設、 精神病院などで、『行動修正』という名前の下に、被験者や対象者の基本的人 権を無視した実験や『行動修正プログラム』が実施されていたらしい。 それ は、この本に引用されている『タイム』誌 (p. 172、177) や『APAモニター』 の記事、合衆国上院調査報告書 (pp. 140-141) などからも伺うことができる し(但し、私は、これら引用の原典を確認してはいない)、スキナー自身の講演 『罰なき社会』(『行動分析学研究』、1990、vol. 5、p. 89) からも知ること ができる。

 このような『行動修正』という用語の濫用、あるいは意図的な誤用から生ま れた非難は、行動分析にとっては濡れ衣であり、我々は被害者であると言える かも知れない。 しかし、今回のような行動分析に対する批判に対して、確固 たる反論を展開するためには、そして、なによりも将来、同様の濫用・誤用を 防止するためには、我々行動分析に関わる者が誤用の実情を正確に把握し、そ の原因を分析することが必要である。

 第2の問題点は、自由や社会に対するスキナーの考え方が誤解されているこ とである。 これには1971年に刊行されたスキナーの著書 ``Beyond Freedom and Dignity'' (『自由と尊厳を越えて』) が関係している。 『洗脳の科学』 では『自由と威厳を超えて』と訳されて何度か ``Beyond Freedom and Dignity''が引用されている (例えば p、34、107、111)。 しかしこれ以外の 箇所でも、キャメリアンのスキナー批判は``Beyond Freedom and Dignity''の 内容 (に対する誤解) に基づいているように見受けられる。

 ``Beyond Freedom and Dignity''は、行動分析の専門家以外をも対象に、ス キナーが人間や社会、文化について語り、現代社会が直面する危機的な状況を 解決するための手段として、行動工学の必要性を主張したものである。 しか し,スキナーの他の著作同様、この本もまた平易とは言い難く、行動分析的な 物の見方・考え方を知らない読者や、偏見を持って読む者には、あたかも危険 思想であるかの如き印象を与えかねない。 スキナーを「狂信的」(p. 9)、 「幼い子どもにとって現在最も危険な男」(p. 32)、「精神の抹殺者」(p. 35) などと決めつけるキャメリアンの意見は、おそらく``Beyond Freedom and Dignity'' への誤解から生まれたものであろう。

 スキナーが世を去って既に5年が過ぎた。 しかし、実験的行動分析をより 一層普及するためには、スキナーの理論的業績の整理、再検討、そして一般人 や領域を異にする専門家に向けた上質な解説・紹介、といった作業を、これか らも地道に展開していく必要がある。

「誤解」への現実的な対応

 こうした課題とは別に、応急処置も考えておかなければならないだろう。 学生が『洗脳の科学』を持って質問にやって来たら、どう答えればいいのだろ う。 被験者が協力を拒んだり、クライエントが不安を訴えたら、どう対応す ればよいのだろうか?

 行動修正に対する誤解に対しては、スキナーの『罰なき社会』を紹介するの はどうだろうか? (『行動分析学研究』1990、vol. 5、pp. 87-96. に日本語訳 が掲載されている)。 行動修正への誤解について、そして「実験的行動分析 学の応用という厳密な意味での行動修正法」について、スキナー自身の言葉を 通して知ることができる。

 日本行動分析学会の活動を紹介するのも良いかも知れない。 日本行動分析 学会は、領域を異にする専門家にも、行動分析に関心を抱く一般の人々にも広 く門戸を開いている。 実験的行動分析や応用行動分析の成果は、日本行動分 析学会をはじめとする各種の学会で発表されている。 こうした機会を通して、 行動修正に関わる専門家達が、どのような関心を抱き、どんな方法で、どのよ うな方向に研究を進めているのかは,常に一般社会に公開されているのである。 1987年には学会として 倫理綱領 を定め、研究・臨床活動を行う場合に、研究対 象者・クライエントの人権・健康・福祉・安全に関して十分な配慮を行う事を 定め、倫理委員会を設けている(『行動分析学研究』1987、vol. 2、pp. 79-84.)。

 スキナーの自由や社会に対する考え方を確認するには、『行動分析への招待』 (佐藤方哉著、大修館書店1976年刊) の第7章「スキナーとの架空対話 (中) --- 環境と人間 ---」に最も優れた解説がある。 同時に ``Beyond Freedom and Dignigy''の訳書である『自由への挑戦 --- 行動工学入門』(波多野進・ 加藤秀俊訳、番町書房1972年刊) が、スキナーの考え方を理解する上で、決し て優れた翻訳書ではないことを指摘する必要もあるだろう。

おわりに

 スキナーは『科学と人間行動 (Science and Human Behavior)』の中で科学 の特徴として、知的正直さ (interctural honesty) と共に、他人の言葉や権 威ではなく、事実を重視することを強調している。 我々、行動分析を学ぶ者 は、この言葉に賛同する点においてスキナーの忠実な継承者ではあっても、決 してキャメリアンの言うようにスキナーを「独裁者」や「神」(p. 27)、「聖 者」(p. 33) として崇めるものではないのである。


編集局では『洗脳の科学』やこの記事に対するコメントや意見を募集します。 行動分析学が誤解されている原因やその打開策についてアイディアなどござい ましたら、手紙か電子メールで編集局までお願いします。

私と行動分析学の出会い

リレーエッセイ

河嶋 孝(日本大学農獣医学部*)


   私が慶應義塾大学文学部を卒業したのは1961年、指導教授は小川隆先生であっ た。卒業論文の題目は、たしか「伝書鳩のオペラント条件づけにおける動因の 効果」だったと思う。実は、当時の私の関心は社会心理学の方面にあって、 motivation research や dynamic perception に興味を持っていた。

 dynamic perception とは、例の、貧乏人の子どもはお金持ちの子どもより も貨幣の大きさを大きく見るという話である。その頃、卒論の題目を決めると きは、まず主任教授の横山松三郎先生が4年生に面接して学生の希望を聞き、 それから先生がしかるべき指導教員に割り当てるというやりかただった。私が 横山先生に「motivation についてやってみたい」と申し上げたところ、「そ れなら小川君につきたまえ」と指示してくださった。横山先生は実験心理学者 だったから、motivation は学習の領域だとお考えになったわけである。小川 先生は「きみ、ハトをやってみないか。今までの学生は自分からハトをやりた いと言ってきたが、僕の方からやれと言うのはきみが初めてだ」とおっしゃっ た。叱られたのかほめられたのか分からなかったが、それが私とハト、つまり 行動分析学との関わり合いの始めであった。

 このいきさつからわかるように、私はまだ行動分析家ではなかった。小川先 生も、それまで迷路や走路の統制オペラントの場面で見いだされてきた事実が、 スキナー箱の自由オペラントの場面でも見いだされるかどうかという問題に関 心を持っておられた。日本ではまだ Hull の時代だった。

 Hullの主著 "Essentials of Behavior" が河合伊六先生によって翻訳された のが1959年、"Principles of Behavior"が能見義博先生と岡本栄一先生によっ て翻訳されたのが1960年だった。訳書を読んで理解できなかったところは、原 典を読んでもなお理解できなかったことを覚えている。だが、生物の行動の法 則性を、包括的にしかも数学的に定式化しようとするHullの理論は魅力的であっ た。私の修士論文の題目は「刺激般化勾配におよぼす動因の影響」だった。 Hullの理論の中の、動因は学習にではなく遂行に影響するという仮説を検証す る実験であった。この報告は Psychological Research に掲載され、Nevin and Reynolds の "The Study of Behavior" に引用された。その本で日本人の 研究が引用されたのは私の論文だけだったので、たいへん強化された。

 小川先生は、大学院の演習で "Verbal Behavior" や "Science and Human Behavior" をテキストに使われた。それもあまりおもしろくなかった。人間の 言語行動をマンドとかタクトとか名づけてみても、それがいったい何の役に立 つのかまったく理解できなかったし、人間の経済活動や文化がオペラント条件 づけの原理で理解できるなどとは誇大妄想のようにも思えた。小川先生の真意 が伝わらなかったのであった。一方、Hullの理論にもあきたらなくなってきた。 「私の理論は空腹なネズミにしか適用できない」という Hullの告白をどこか で見たときには、だまされたような感じがした。数理心理学の印東太郎先生の 講義で、伝達関数の話を聞いたときには、Hullの考える内部過程が工学的にこ れほど整理されるのであれば、心理学は不要であるとさえ思った。 その頃、 Kendlerの媒介理論を知り、 Hull の理論が救われためにはこの行き方しかな いのではないかと考えたが、それも半信半疑だった。

 私が Skinner の考え方に影響されたのは"Are theories of learning necessary?"を読んでからである。Hull、Tolman などの仲介変数を用いる理論 は、仲介変数なる実体が存在しないので意味がないと断じたところでは、胸が すく思いがした。その論文の後半の部分で、見本合わせなどの実験が紹介され ていた。「Hull の公準何とかの、系何とかによれば...」で始まる Hull の仮説を検証する実験報告ばかり読んで飽き飽きしていた私にとっては、これ ぞ行動の科学と思われたのであった。Skinner のエッセイもおもしろかった。 "Flight from laboratory"や "A case history of the scientific method"で は、これが事実を探求する科学者の姿という感じがした。「こういう人が書い たのか」と思いながら、"Science and Human Behavior"を読み直したものであ る。私はJEABを個人購読することにした。

 4年先輩に佐藤方哉さんがいた。初めてお目にかかったのはたしか私が3年生 の頃、研究室で「もしもし、大学院の佐藤ですけどねえ」と誰かに電話で怒っ ておられるところであった。白衣を着て、医者が手術のときに使う白いキャッ プをかぶっておられた。佐藤さんはこわそうに見えたが、話しやすい人だった。 卒論の題目を決めるときにも相談に行ったはずである。佐藤さんの奇人ぶりは 有名だが、大学院時代の私はお酒をまったく飲まなかったので、その実態はま だ知らなかった。私がお酒を飲むようになったのは、助手の頃、京都大学霊長 類研究所の最初の共同利用研究員として犬山に行ったときからだが、その話は また別の機会にしよう。小川先生は「佐藤君は優秀だが飲み過ぎるのが問題だ」 とよく言っておられた。ご自分はあまりお飲みにならなかったからかもしれな い。

佐藤さんは勉強家だった。修士論文の序論を心理学研究の展望論文「刺激般 化ー一次性感性般化の諸研究」(1961)として掲載されたが、これは私を始め として刺激般化の実験をする者のバイブルになった。佐藤さんはおりにふれて 「昨日はこういう論文を読んだ」と話してくれた。締めくくりは常に「これか らは Skinner でなければいけない」という言葉だった。そして、私は佐藤さ んの影響を受けながら、いつのまにか行動分析家になっていたのである。佐藤 さんに行動分析学についてわからないことを聞くといつも強化されたし、反発 して議論になるとかなわなくていつも罰ばかりうけていたから、これも contingency-shaped behaviorであろう。数年前Catania (実験的行動分析家 の大家)に会ったとき、お前はどうして行動分析家になったのかと聞かれたの で、この話をしたところ、"You are the oldest student of Sato."と言った。

私はこのようにして行動分析学と出会ったのである。

*4月から生物資源科学部になります。
E-mail:kawashim@brs.nihon-u.ac.jp

行動分析学という一種異様な学問(?)に引き込まれたのには、人それぞれ様々 な理由があるようです。新企画「リレーエッセイ:私と行動分析学との出会い」 では、この道に入ってしまったきっかけや事情などを学会のお歴々に語ってい ただくのが狙いです。第1回目は、会長、常任理事、編集委員長と学会の要職 を務めあげ今尚現役バリバリの河嶋先生にお願いいたしました。インターネッ トを駆使され、今回の原稿作成にあたっても、ほとんど毎日のようにメールを やりとりしながら執筆して下さいました。先生の原稿は次号まで続きますが、 先生にはその後の執筆者を指名する権利があります。そうです。「笑っていい とも」のように、次の執筆者を任命していくという趣向なのです。すでに心づ もりがあるようです。身に覚えのある方は楽しみにお待ち下さい!


いよいよ開催! 日本初の国際的行動分析学会議

第3回行動主義と行動の科学に関する国際会議のお知らせ


- 3rd International Congress on Behaviorism and the Sciences of Behavior -
行動主義と行動の科学に関する国際会議は、米国オーバーン大学ピーター・ハ ルツェン教授ならびにメキシコ共和国グアダラハラ大学エミリオ・リベス教授 の尽力により、メキシコ共和国グアダラハラ市で第1回大会が開催されました。 1994年10月には第2回大会がイタリア共和国パレルモ市で開催されまし た。国際行動分析学会(ABA)は、会員数2,300名、年次大会参加者1, 800名を数えるまでになりましたが、B.F. スキナーが生前に論じた多 くの心理学的諸問題は、現在のところ、実験的にも概念的にも十分に分析され ているとはいえません。本会議では、世界各地の行動主義者が一堂に会し、原 点に立ち戻って論議を交わすことを目的としています。取り上げられる研究は 以下の通りです。



・認識論および概念的問題         ・理論的および方法論的問題    


・実証的研究                     ・社会や組織内の応用分野での実践的研究


・歴史的考察                     ・行動医学的研究





発表時間:


口頭発表: 最長30分    シンポジウム: 最長2時間


使用言語: 英語,スペイン語,日本語





発表申込締め切り:1996年7月末日(必着)


口頭発表申込者は「発表要旨」を、シンポジウム申込者は「企画書」を、佐藤 方哉宛てに郵送してください。いずれの長さも500語以内とします。なお、 シンポジウムの企画書には、参加者全員の氏名・所属・住所・各自の演題を明 記して下さい。



大会参加費:


                     7月末日以前に納入   8月1日以後に納入	


一  般              30,000円       40,000円 	


学  生              12,000円       18,000円	


家族などの同伴者      15,000円       15,000円 	





宿泊についてのご案内:


  横浜プリンスホテル 1泊 約13,000円(ツインルーム)


組織委員:

連絡先:



  佐藤方哉


 〒112 東京都文京区関口


      3-6-16


 Phone & Fax  03-3941-5972


 E-mail:VYB07672@niftyserve.or.jp



行動分析学としては日本で最初の大きな国際学会になりそうです。海外からの 参加者も50名以上を予想しています。発表は日本語でも、英語でも、スペイン 語でもできます。皆さん、ふるって参加しましょう!


幻の名著復刊なる!


 スキナー没後、その遺志をついだ多くの人々の力によってスキナー財団 (B.F. Skinner Foundation)が設立された。財団の重要な活動の1つに、行 動分析学の名著の復刻があり、すでにご案内の通り、これまでに スキナーの 「有機体の行動」「言語行動」の2冊が出版されている。これに続く第3弾と して、昨年5月、ケラーとシェーンフェルドの「心理学の原理」が、M.シド マンの序文と共に復刻された。スキナーによって生み出された行動分析学が、 コロンビア大学での心理学のコースと共に、この書を通して、多くの後継者を 育成したことは周知の事実である。本書を直接発注されたい方は、ABAの事務 局宛に申し込まれたい。

問合わせ先:ABA(電話616-387-4495、Fax 616-387-4457)

なお、ABAの名簿他、行動分析学が学べる米国の大学院案内など、ABAの 出版物についての情報は、杉山尚子までお問い合わせください。


ノース・テキサス大学留学のご案内(第2信)


前号でお知らせした夏休みの行動分析学短期留学の計画がより具体化しました ので、お知らせします。



科 目 名:BEHV 5250.002(Basic Behavioral Principles)


担当教授:Sigrid Glenn 


教 科 書:Keith Miller's Principles of Everyday Behavior Analysis


期  間:7月24日より8月8日(15セッション) 1日3時間


学  費:未定


寮  費:$9.25 /日(2人部屋)


渡 航 費:約17万円(出発日/航空会社により違います)


登録締切:5月1日!


問 合 先:杉山尚子(Fax:03-3941-5972; E-mail:VYB07672@niftyserve.or.jp)



編集後記


  • J-ABAの編集作業は心ある有志の方々のご協力で成り立っています。 第1号では学芸大学の氏森英亜先生とその研究室の学生さん(霜田浩信さん、 磯部育美さん、小島恵さん)にご協力いただきました。どうもありがとうござ いました。

  • 次号からは新企画「研究室紹介」のコーナーを始めます。日本各地から、 行動分析学をパワフルに推し進めている研究室の近況を紹介していただきます。 初回は、上越教育大学の藤原義博先生の研究室です。乞う御期待!


    J-ABAニューズ編集局
    〒772 鳴門市高島 鳴門教育大学 人間形成基礎講座 島宗 理
    TEL 0886-87-1311(内340) FAX  0886-87-1053
    E-mail simamune@naruto-u.ac.jp

    J-ABAニューズでは会員の皆様からの記事を募集しています。研究室や施設の 紹介、用語についての意見、学会に対する提案や批判、求人求職情報、イベン トや企画の案内、ギャクやジョーク、その他まじめな討論など、行動分析学研 究にはもったいなくて載せられない記事を期待します。原稿はテキストファイ ルの形式で、電子メールかフロッピー(DOS/Mac)により編集局までお送り下 さい。2000字程度を目安にし、本紙1頁におさまるように考えていただければ 結構です。